古いバイクと付き合う

ゼッツー、ケッチにCBX、かつてバイク屋の裏に投げてあったようなバイクに高値が付くようになって、ずいぶん経ちました。その割に、街中でも、ツーリング先でも、きちんと手入れされていて、調子のよさそうな車体にはあまりお目にかかりません。ムクドリのようにやかましく群れて集団走行しているのは見かけますが、バイクが気の毒ですね。

ゼッツーなどのカワサキ空冷4気筒などは、大金をつぎ込まれて、現行車の足を入れられ、一通りみんながやってるカスタム化が終わると、ガレージの肥やしになり、動かなくなった頃に、かかったカスタム費用を乗せて売ろうとする。CBXはやホークは理解不能な装飾が施され、珍走車となり、人様に迷惑をかけ、バイク乗りの市民権をより低俗なものへと押し下げていきます。業界の人間である以前に、いちバイク乗りとして、古い物の価値を否定し、現存するまともな個体数を減らす愚行は、悲しい限りです。

そんなお高いバイク達にも、同じ時代を生きた同士がいるわけで、私が所有するイーハトーブやビラーゴ400なども、カテゴリーは違いますが、そのお仲間ということになります。市場価格的には、20分の1くらいでしょうか?それでもきちんと整備してあげれば、今でも走ることができます。残念なのは、人気がないゆえに、多くの車両が修理されずに解体処分されてしまい、現存数が少ないことですね。人気がないバイクにも、良いバイクはたくさんあるのに、残念な限りです。

買うときに高くても、安くても、修理にかかる部品代や工賃はあまり変わらないものです。ただし、メーカーからの部品の供給は、ある時期を過ぎると絶望的になります。そういった場合でも、市場で人気のあるバイクであれば、リプロパーツによる修理が可能な場合があります。しかし、ほとんどの場合は、メーカーからの機能部品の供給が終了した時点で通常修理は不能となり、中古部品の中から良品を発掘しての、場当たり的修理を繰り返すことになります。

「古いバイクを現代のバイクのように走らせたい…」という気持ちも分からなくはないですが、そのために、おじいさんにサイボーグ化手術を行うようなカスタムは、何か違うような気がします。古いバイクに魅力があるのは、そのバイクが生きた時代を写しているからです。スピードレンジも遅くていいんです。その速度で走ることによる時間の経過さえも、そのバイクの個性なんです。できる限り当時の状態を維持し、適切な整備を施し、次の時代のオーナーに託すのが、真のエンスージャストだど思うのです。

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