YAMAHA AST-S1Limited~その2~

さて、エッジも到着したので、さっそく修理に取り掛かります。まずは、パンチングメタルのネットを外します。小さなマイナスドライバーやピックなどで、少しずつ持ち上げていく、固定は両面テープのようだ。かなり強固に付いてるので、若干歪んでしまうが、後ほど修正して取り付けるので、良しとする。ここまでは、エンクロージャーに取り付けた状態の方が作業はしやすい。

お次は、ユニットを外して不良エッジの除去である。これがエッジ張替えのメインイベントだ。何しろ大変。まずはコーンの裏側から。ラバー系のエッジは、ボンドで強固に貼り付いている。そのまま刃物でこそぎ落すのでは時間がかかりすぎるし、引っかかってコーンを痛めかねない。エッジに浸透し、刃先を滑らせてくれる溶剤が必要だ。とりあえず、揮発性が高いが浸透力はある溶剤として、ベンジンを使った。スポイトで適量を垂らしてから、彫刻刀でこそぎ落していく。エッジが付いていないと、コーンがぐらぐらと動いてしまうので、プチプチを小さく切ってコーンの下に当てておく。

エッジを除去しても、強固な接着剤が残る

幸いにもこのスピーカーのコーンはかなり固い材質。スタンダードのS1のコーンはPPらしいが、Limited のコーンはホーン状にカーブした複数のピースを貼り合わせたカーボン製。ツィーターもS1はソフトドームで、Limitedはベリリウムのようだ。バスレフポートの開口部の径も違うように見えるので、おそらく長さも違うのだろう。ということは、この2機種は全く違うスピーカーだ。

エッジを除去しても、その下にはさらに手ごわい接着剤が残っている。これをはがすのも、なかなか骨が折れる。歯科技工用のスケーラーやデザインナイフなど、削る道具を総動員しての作業は、数時間に及ぶ。裏が終わったら、今度は表側。こっちはアルミのフレームに固着した紙と接着剤。コーンに直接付いているわけではないので、いくらかは楽ができる。この辺から、溶剤をダイソーで買ったステッカー剥がし液に替えて効率アップ!

気が遠くあるような作業を2セットこなし、ようやく2つのスピーカーエッジの除去が完了した。あとは専用ボンドで新しいエッジを貼るだけだ。この作業は割と簡単。本来ならセンター出しという作業があるのだが、フレームに段差があり、新しいエッジはジャストサイズなので、付くようにしか付かない。エッジが貼り終わったユニットはとてもきれい!ネットで隠れてしまうのがもったいないくらいだ。