SONY TC-K55(発煙物件) 修理 ③

先生は、写真のようにきれいな機体だ。カセットハーフ窓の照明も生きているのだが、動かざること山のごとしである。先生にも後日復活していただく予定だが、ひとまずは、修理中の機体の参考にさせていただく。コネクタの端子位置は、基盤に記載されている色と、先生のお手本を見ながら治していく。一通り終わったところで生徒の電源を入れてみる。

ついにキャプスタンモーターが回り始めた!まだまだ先は長いのだが、大いなる進歩だ。モードスイッチを押してみる。早送りを押すとリールモーターの動力がリール軸に伝わり、回り出す。早送りボタンを押したのに、巻き戻ってるけど?まあいいや。しかし、速度が遅くすぐに止まってしまう。これはリール軸のグリスの劣化だろう。再生は、ボタンを押してもヘッドが上がらずリールも動かない。ヘッド用のアクチュエーターが作動していないようだ。巻き戻しも反応しない。

さて、また基盤とにらめっこなんだが、先日、心強い助っ人が手に入った。それがこれ!サービスマニュアル(.pdf)である!

海外サイトで、DLできるところをようやく見つけたのだ!もちろん、海外の誰かが自炊してくれたPDFであるが、とにかくありがたい!これがあれば、先生にお出ましいただく必要もなかったと言える。さらに確認を進めると、ファンクションスイッチボックスからのカプラも配線の順番が違うのを発見。これを直すのと同時に、リール軸のグリスアップも行う。リール軸にはかなり細かい部品が使われており、何度か飛ばしてしまった。そのたびに地べたにはいつくばって発見したのは言うまでもないだろう。

もろもろ直していくと、だいぶファンクションボタンの入力に即した動きをするようになった。再生もヘッドが上がって動く。あとは巻き戻しが動かないだけだ。ここからはマニュアルが大いに役に立つ。どのファンクションを押したときに、どこに何ボルトの電圧が出るかが記載されているのだ。

テスター片手にメモを取りながら、慎重に進める。古い機体なので、マニュアルどうりの値が出ることはあまりないが、大きく外れたところを中心にチェックしていく。すると、以前に交換したトランジスタ周りが怪しい。一度取り外してチェッカーをかけ、未使用品と計測値を比べてみる。大きく値が外れているわけではないが、なんか怪しい。交換してみると、ビンゴだったようだ。無事全てのファンクションが動くようになった。全く、マニュアルさまさまである。

これで、修理作業の準備段階まで漕ぎつけることができた。実に半年以上かかっている。今はまだ、「動くだけ」なので、これから各部調整ということになる。

次回最終回(多分)!