彼がこの世を去ってから随分経つ。前述の通り、クイーンというグループは存続しているが、短く強く生きた彼がいた時だけがクイーンであると思うのは、私だけではないだろう。
そのフレディーの最初の(唯一の?かな?)ソロアルバムである。初めて聞いた時は、これほど力強くのびのびと歌うフレディーは聞いたことがなく、当時とても新鮮だった。参加アーティストにメンバーの名前は無く、好きにやらせてくれてありがとう的なメッセージがメンバーに向けて添えられている。真偽のほどは知る由も無いが、まあどうでも良いことだ。
シングルカットされた、「Born To Love You」が某化粧品メーカーのCMに使われたので、この曲だけはご存知の方も多いだろう。アルバム全体としてはバックを務めるのがクイーンのメンバーの出す音ではないので、一抹の寂しさは否めないが、私好みのアルバムではある。
折しもこのタイミングで、フレディーとクイーンの伝記的映画、「ボヘミアンラプソディー」が公開中である。ストーリーの信憑性を疑問視するような評価もあるが、そもそも私は音楽以外あまり興味がないので、先入観無く見ることができるのは幸いだ。早速、先週見に行ってきたが、役者が演じるクイーンのメンバーは、うまく特徴を捉えていて演技も申し分なかったが、映画としての面白さはさして感じなかった。しかし、あれだけの音量でクイーンの楽曲が聴けただけでも十分価値があった。あえて難を言わせていただければ、フレディーのセクシュアリティの表現にかなりの比重が置かれていたような気がして、あまり良い気分ではなかった。そこは彼のパーソナリティの一部ではあるが、「そこを語らずして…」的な扱いはどうかとも思のだ。その部分をクローズアップしたウェブサイトやSNSの書き込みが乱立し始めたのも、古いファンとしては残念だ。
まあそんなことはさておき、このLPだが、実は借りパク物件である。今を遡ること約35年前、当時高校生だった私のクラスメイトN田君から借りたものだ。正直パクったつもりはないのだが、永い年月が経過してしまった。彼とは卒業後もわずかに接点はあったのだが、いつの頃からか連絡を取らなくなってしまっている。もちろん連絡が取れれば、もう一枚借りているLPとお礼を添えて返却するつもりである。
キカイとごはんと猫が好き。