Wカセットデッキ、TC-WE805Sの修理~敗北案件~その②

さて、基盤の割れが見つかったこのデッキ、当然パターンも分断されている箇所もあると思う。前回、ロジック系のタクトスイッチの付いている基盤も、よく見るとドルビーの切り替えスイッチの裏が割れている。表から見える分断は、切ったコンデンサの足や細い線材を使って地味にバイパスしていくしかない。

テスタで当たりながら、なるべく無理なく配線を引き回せるところを探って繋いでいく。それでもスイッチの裏側などは、白い保護被膜に覆われていてどこから出ているどの線に足が繋がっているのかよく見えない。しかし裏から強い光を当てると見えることが判明。バイパスだけでなく、怪しいところはハンダを盛りなおしていく。

再度仮組みして、チェックを続ける。AとBのデッキで少々差はあるが、おおむね使えそうな感じはしてきた。もちろん、まじめな録音等に使うつもりはないが、再生専用機としてドルビーB、C、SのNR(ノイズリダクション)が使えるのは便利なはずだ。と思い、ノイズリダクションのチェックを始める。それぞれのNRで録音したテープを再生していくと…あれ?スイッチ切り替えても何も変わらない…さっき割れていたところは修正しているが? 録音もしてみる。何も変わらない。スイッチのバイパスがうまくいってないのかと思い、再度分解。

スイッチによる回路の切り替えまでは問題なかった。ドルビーのICは基板裏に表面実装されているこいつと、垂直に立ち上がった小基盤×2の2種類が使われているようだ。機能的にどういう振り分けなのかはわからないが、立ち上がっている小基盤の方は主基盤との接続は確認済み。おそらくいかにも後付けっぽく付いているこちらがドルビーSの基盤なのだろう。落下時のダメージは、スイッチ類の破損やフロントパネル裏に基盤の割れにとどまらず、主基盤のICにも何らかのダメージが行っているのではないかと推測される。

それはともかく、ドルビーが動作しないことにはこのデッキの存在価値はほとんどない。使えるのは高速リワインドくらいか…ともかくこれ以上は私のスキルでは追うことはできない。格安の部品取り機が手に入るまでしばし保留となる。かなり頑張ったのだが..無念である。

 

Wカセットデッキ、TC-WE805Sの修理~敗北案件~その①

少し前に、近所のハドフで見かけたWカセットデッキ。普段はWデッキなどまるで関心がないのだが、そのデッキのカセットリッドに “DOLBY S” の文字が見えた。 Continue reading

DENON DRR-7.5L 修理~遠方よりの依頼~

以前ヤフオクにて、DENONのカセットデッキ、DRR-M10を出品したことがあった。不動品を修理したものであったが、修理の結果はいまひとつ。ちょっと動作にクセが残っていたので、格安ジャンクにて出品した。コツをつかめば普通に使えるからだ。それを落札していただいたのが、宮城県にお住いの人生の大先輩。クセのある商品だったので、説明のため取引連絡で数回のやり取りをしていた。オーディオについて色々聞かれることも多く、その都度、できうる限りの説明はしてきた。そんなやり取りもあり、無事商品を納品したあともしばらくやり取りは続いていた。おそらく年齢は20年ほど上と思われる御人であったが、とても楽しいやり取りであった。 Continue reading

YAMAHA AST-S1Limited~その4(完了)~

運用を始めてから、調子はいいとは言え、やはり専用カートリッジのことが気になってしょうがなかったS1Limited… 常にASTアンプとカートリッジの出品とハドフを監視する日々。

そしてその日は割と早めにやってきた。オクでの出品である。「YAMAHA ステレオパワーアンプ AST-A10」という題字のみで、説明文も簡素。写真を見ていくと…カートリッジも入ってますね。 Continue reading

YAMAHA AST-S1Limited~その3~

さて、ユニットもエンクロージャーに収まり、ようやく音出しができる状態になった。現在の館内の配置上、専用スタンドが使えなくなってしまったので、机の上に乗せた状態で試聴する。 Continue reading

YAMAHA AST-S1Limited~その2~

さて、エッジも到着したので、さっそく修理に取り掛かります。まずは、パンチングメタルのネットを外します。小さなマイナスドライバーやピックなどで、少しずつ持ち上げていく、固定は両面テープのようだ。かなり強固に付いてるので、若干歪んでしまうが、後ほど修正して取り付けるので、良しとする。ここまでは、エンクロージャーに取り付けた状態の方が作業はしやすい。 Continue reading

YAMAHA AST-S1Limited~その1~

今年に入ってから、ヤマハのAST-S1Limitedというスピーカーを入手した。スピーカーの新規購入に関しては、現在メインとしているビクターのFB-7購入時の教訓(うっかり買うと、でかくて邪魔)もあり、控えていたところなのだが… Continue reading

プリメインアンプの修理

オーディオ修理の道は長く険しい。帰宅してからのわずかな時間では、なかなか修理ははかどらない。全てのオーディオ機器の修理が出いるようになることを目指してはいるが、とりわけ修理に時間がかかるのがアンプである。

俗にいう、プリメインアンプ(インテグレーテッドアンプともいう)は接点の塊である。メインボリュームから始まり、トーンコントロール、スピーカセレクタ、入力セレクタ、RECOUTセレクタ、その他イコライザと、音に直接関連する接点ばかりだ。しかもその接点を内包するボリュームやスイッチは、メーカーから新品での供給は期待できない。何しろ古いからだ。分解して(非分解ですけど)、接点を掃除して組み上げるか、代替品を探すしかない。しかし、ボリュームやスイッチをすべて代替品に置き換えたら、途方もない金額になってしまう。必然的に、私の行う修理は前者での作業となる。

自動はんだ吸い取り機

筐体を分解し、パネルから基盤を外して、100か所以上のハンダをひたすら外す。この作業は、自動はんだ吸い取り機がなければ、まず不可能だ。スイッチ類を一つ一つバラシて接点を清掃していく。組み上げたスイッチ類はテスタなどで確認はするのだが、基板に実装して音を出してみないと直っているかどうかはわからない。ダメならまた最初からやることになる。

さらには、切れているパイロットランプの球をLEDに換装する作業もある。30年以上前の古いアンプともなれば、ランプの1つや2つは必ず切れている。切れた球だけを交換すると、インジケータの照度がほかのランプと変わってしまうので、たいてい全数のランプを交換することになる。これも地味なはんだ作業を伴うので、なかなか疲れる。

そんなこんなで、組みあがったアンプがボリュームのガリも無く音を出してくれると、この上ない満足感を味わえる。これがオーディオばかりでなく、修理仕事(趣味)の醍醐味ともいえる。さらには直したキカイが高値で売れればよいのだが…原価に毛が生えたような値段でしか売れないなぁ。まあ、世の中そんなもんだ。

驚きのコストパフォーマンス! SONY TA-FB720R

2月いっぱいで閉店した、近所のハドフ。その店はちょいちょいジャンクオーディオの仕入れに使ってたので、とても残念だ。その閉店セールで買ったソニーのアンプ、TA-FB720R。ジャンクではなく、リユース品といわれる動作保証済みの品だ。 Continue reading

Victor Z-1S ~カートリッジ試聴~

ビクターのカートリッジ、Z-1Sです。かなり前に購入したものですが、使うのは初めて。前回のオンキョーS800同様、プレーヤーの付属品カートリッジらしいです。ネットでもよく見かけますし、お安く買えて、交換針もまだ買えるというアナログ文化の布教大使のようなカートリッジです。

音はというと、無難の一言に尽きると思います。主観ですが、特にこれといった特徴はナシです。どんなジャンルも無難にこなします。中低音も結構出る。特徴…いや…ありましたね。ボディーのデザインが、かっこ悪いし安っぽいです。音が無難に感じるのは、見た目の悪さも手伝ってるかもしれません

それでも、現在でも交換針が入手できたり、本体もお安く買えるというのはアナログファンからすれば喜ばしいことです。バリエーションモデルもあり、ネット上ではZ-1ファミリーはけっこうたくさんいます。でもやっぱりかっこ悪いので、今後このシリーズをわざわざ買うことはないとおもいます。