オーディオ修理の道は長く険しい。帰宅してからのわずかな時間では、なかなか修理ははかどらない。全てのオーディオ機器の修理が出いるようになることを目指してはいるが、とりわけ修理に時間がかかるのがアンプである。
俗にいう、プリメインアンプ(インテグレーテッドアンプともいう)は接点の塊である。メインボリュームから始まり、トーンコントロール、スピーカセレクタ、入力セレクタ、RECOUTセレクタ、その他イコライザと、音に直接関連する接点ばかりだ。しかもその接点を内包するボリュームやスイッチは、メーカーから新品での供給は期待できない。何しろ古いからだ。分解して(非分解ですけど)、接点を掃除して組み上げるか、代替品を探すしかない。しかし、ボリュームやスイッチをすべて代替品に置き換えたら、途方もない金額になってしまう。必然的に、私の行う修理は前者での作業となる。
自動はんだ吸い取り機
筐体を分解し、パネルから基盤を外して、100か所以上のハンダをひたすら外す。この作業は、自動はんだ吸い取り機がなければ、まず不可能だ。スイッチ類を一つ一つバラシて接点を清掃していく。組み上げたスイッチ類はテスタなどで確認はするのだが、基板に実装して音を出してみないと直っているかどうかはわからない。ダメならまた最初からやることになる。
さらには、切れているパイロットランプの球をLEDに換装する作業もある。30年以上前の古いアンプともなれば、ランプの1つや2つは必ず切れている。切れた球だけを交換すると、インジケータの照度がほかのランプと変わってしまうので、たいてい全数のランプを交換することになる。これも地味なはんだ作業を伴うので、なかなか疲れる。
そんなこんなで、組みあがったアンプがボリュームのガリも無く音を出してくれると、この上ない満足感を味わえる。これがオーディオばかりでなく、修理仕事(趣味)の醍醐味ともいえる。さらには直したキカイが高値で売れればよいのだが…原価に毛が生えたような値段でしか売れないなぁ。まあ、世の中そんなもんだ。