ジョージャクソン、わが国での知名度は、限りなくゼロに近いアーティストではないだろうか?ありがちな名前であるゆえ、他のアーティストと混同されているかもしれない。ビジュアル的には、某ジェネシスのおっさんと見まがうばかりの後退っぷりだ。私としてはとても親近感を感じる風体の人物であるが、見た目重視の世界では、ちょっと分が悪い。音楽的には、様々なエッセンスをちりばめて、曲を作っていくのだが、決して破綻していない。いつもきちんとまとめ切ってしまう印象。歌はあまりうまくない。日本でヒットした曲もないではないけど、どこかのCMに使われたこれ↓が一番有名かな?
まとめ買いしたLPの中の、” Night&Day ”の収録曲だ。ポップで聞きやすい、良い曲である。今回、聞いたアルバム” Big World ” は2枚組の大作!なかなかの内容の濃い作品であり、聞いていて飽きない。A,B.C面と聞き進め、D面を聞こうと、盤を裏返した。
すると、おや?なんかツルツル!道路状況でいうと、ブラックバーンだ。ライナーノートで確認。どうもD面はないらしい。確認ついでに、ライナーノートに目を通す。このLPを聞く前から気になっていたことを、確認するため。その気になっていたこととは、このLPはスタジオライブで収録されているらしいということ。通常、アルバムの制作は、マルチトラックレコーディングで行われる。各パートのアーティストたちが、それぞれ個室で演奏&録音し、あとからミキサーで合わせて1枚のアルバムを仕上げる。この方法であれば、アーティストたちは一度に全員集まる必要もなく、時間もフレキシブルに使うことができ、何しろパートごとに録りなおしができる。
ライナーによると、このアルバムは、正しくシングルトラックのライブレコーディングにより制作されている。400人ほど収容できる小劇場に音楽関係者を観客として招待し、生演奏をデジタルレコーディングしている!ライナーの著者をはじめ、日本からも何人かがこの幸運なチケットを手にしたらしい。その演奏の空気感や一体感は、きちんとレコードに記録されている。同じように俗に言う「一発録り」されたアルバムではTOTOの ”Hydra” が有名だが、あえて、同じ手法でレコーディングしようとするアーティストは極々稀である。ジョージャクソンの、音楽に対するスタンスを、世間に知らしめるようなアルバムである。
キカイとごはんと猫が好き。