買ったのは青版。赤やら白もあるみたい。
昨年のことではあるが、こんな本を買った。三省堂の「新明解国語辞典 第八版」である。「辞書じゃん!」と言われるかもしれませんが、辞書だって本です。私が買ったのは、青色に額装された青版。他に、白や赤もあるらしい。
普段我々は、日本語で会話をし、日本語のニュースを聞き、日本語で書かれた記事を読み、このブログのように文章を綴ることもある。私の場合、「果たして、その日本語は正しいのか?」と思うことが、日常において多々ある。まあ、現在のネット社会であれば、そんな日本語の意味を調べることなど簡単だ。しかし、前時代的なアナログ人間である私は、「いやそもそも、このネットの情報は正しいのか」と思ってしまう。私はネットの情報というものをあまり信用していない。Wiki先生のように、みんなで辞典を作ろう的なものもありますしね。やっぱり出所のはっきりした、活字で確認したいのです。
1つ例を挙げると、ここ数年「忖度(そんたく)」という言葉が頻繁に使われるようになった。私の記憶が正しければ、故安部首相の「森友問題」に関する当事者のやり取りの中で使われてから、頻繁に使われるようになったように思う。間違ってたらごめんなさい。問題は今現在の使われ方だ。
右の写真は、FBに表示された広告である。この文章から類推される忖度の意味は、一人称で、「迷うことなく」とか「個人的に」とか、そんな意味だろう。
ネット上で目にする忖度は、ほとんどがこういう使われ方である。忖度は語調が軽やかで、ちょっとミステリアスな単語。それを文章に使うと、今風なイケてる文書に見えるのかな?しかし忖度って、そうやって使うものなのか?
そんな時に役に立つのが、国語辞典である。仕事で日本語を扱っている先生たちの珠玉の解釈が書かれているのだから、間違いはないだろう。この新明解国語辞典によると、忖度とは「自分なりに考えて、他人の考えを推し量ること」とある。ということは、この広告の文章は間違っているのではないだろうか。正直、私自身は忖度という単語は最近まで知らなかったし(受験国語では出たかもしれないが…)、日常的に使われているのを聞いたこともなかった。
ちなみに古い国語辞典の忖度に関する記述は、もう少しさっぱりしている。この辞典は、1983年発行の岩波国語辞典第三版である。私が高校時代に使っていた物だ。家にはさらに20年ほど古い国語辞典もあったが、忖度に関する記述は全く同じであった。つまり、意味や使われ方が変遷するほど、使われることがなかったということだろう。
この忖度という言葉に対する私の理解が正しいのか、そうでないのか、辞書に頼っても正確な判断はつかない。そもそも言葉というものは、時代とともに移り変わるものであるし、間違った使い方でも、みんなが使えばそれが本流になることもあるだろう。そんな時代だからこそ、今現在の基準となる文研として国語辞典が必要なのだ。
また、近年は旅行者ばかりでなく、日本で仕事をしている外国人の方も数多くいらっしゃる。そんな外国の方と話すとき、われわれは正しい日本語を話せるのだろうか?ましてや、彼らから言葉の間違いを指摘されたりしないように、日頃から正しい日本語を使うように心がけたいものである。