1980年代前半、タコ(TACO)というアーティストの ”Puttin’ on the Ritz” という曲がヒットチャートを賑わしたことがあった。邦題が「踊るリッツの夜」という、当時流行りのシンセサウンドだった。なかなか楽しげな曲で、他の曲にも興味がわいたので、レコードレンタルで借りたことがあった。アルバムは、スタンダードの名曲のカバーとオリジナル曲が混在しているのだが、うまくアレンジでまとめられていて、違和感がなかった。今聞きなおしてみても、驚きの完成度である。この人、もともとは俳優らしい。どうりで、PVのセンスもいいわけだ。
まあ、中身はさておき、問題はジャケットだ。レンタルで借りた時も、「なんじゃこりゃ?」と思った。ジャケットの本人の写真の背景になっているのは、タコの絵。裏側には浮世絵風のタッチで、蛸(タコ)と戯れる女性の絵…こりゃあ、「春画」ってやつか?にしても、こんな、品のない洒落をジャケットにするか?アルバムの内容と違いすぎる。
そして、今、時はネット時代。WikiやらGoogleやらで調べてみると…どうやらこれが本来のジャケット。全然ちげーよ!蛸(タコ)のたの字もねーわ!
想像するに、これはレコード会社の悪意ある悪戯だったのではないかと思う。名前のインパクトを正面に打ち出すあまり、このくだらなく、低俗な、おやじギャグにも満たないような、ろくでもない思い付きに至ったのではないか?当時の担当者を、泣くまで問い詰めたい気分だ。これは、アーティストに対する冒涜以外の何物でもない。
日本では、海外のアーティストのアルバムや、映画のタイトルに、都合のいい(まったく意味の違う)邦題を付けてしまうことがある。この国のメディアの悪い慣習だ。この間見た映画の「オデッセイ」も、意味は、放浪とか冒険とかの意味(ほんとはもっと壮大)。ちょっと内容には近いけど、本来のタイトル”The Martian”は「火星の人」と、ド直球だ。確か、原作本の和訳タイトルは、こっちだったと思う。ま、「日本の人」はカタカナに弱いから、「火星の人」よりは「オデッセイ」のほうが売れるわな。そんなわけで、もしこのアルバムのジャケットに何の許可もなく(そんな事があるとは考えたくはないが)、変更を加えていたとしたら、大問題である。
話は戻って、”Puttin’ on the Ritz”の元ネタのお話し、これもネットで拾った、また聞き話だけど、1940年代に活躍した、ブロードウェイのエンターティナー、フレッドアステアの同曲とのこと。こっちは、ほぼタップダンスだけど、今見てもすごい。
これは見ておくべき動画ですね。
キカイとごはんと猫が好き。