自宅基地にあるオーディオシステムは、寄せ集めの「おじいちゃん軍団」である。 1980年台~90年台の古きよき時代のオーディオたちが余生を送っている。そのコンポの中の悩みの種はアンプである。中古で買うアンプたちは、ほとんど全て、ボリュームがダメである。4機ほどあるプリメインアンプのうち、現在使っているパイオニアのA-600も、最近具合が悪く、毎回音が出るまでに数分かかる。音が出ても、左右のチャンネルが出たり出なかったり… そんなわけで、ついに修理の腰を上げることにした。
実は数日前から、巷で名機と呼ばれるパイオニアのSA-7800Ⅱを直しはじめた。買った当時はとても調子が良かったのだが、すぐに左右チャンネルの音が出たり出なかったりするように… いつも症状は同じだ。この機体は「レストア済み」ということで購入したのだが、この有様。カバーを開けてみると、確かに埃ひとつないほどにきれいなのだが、ボリュームの接点に関しては、隙間から接点クリーナかなにかを吹いただけだったのであろう。
しかし、このボリューム、見るからに古臭い。接点むき出しの4つ足の2連ボリュームが基盤に乗っかっている。確かにこのままだと、清掃はできない。そこで、ねちこちハンダを基盤から吸い取り、ボリュームユニットだけを取り外す。自宅基地にあるハンダごては出力が低く、昔の高融点のハンダをはがすのは一苦労だ。この作業だけで、1時間以上かかっている。当初の予定では、外したボリュームと同じものを探して交換しようと思っていた。しかし、同じような形のものはあっても、4つ足のものは見つからない。メーカーは「NOBLE」というところなのだが、ラインナップにはこんなボリュームは乗ってない。それだけ古いということだ。秋葉原に行けばあるのかもしれないが、そんな暇はない。やむなく、超音波洗浄にかけ、ブレーキクリーナで水気を飛ばし。日なたでじっくり乾かす。その後、接点クリーナを吹きながらつまみを動かし続け、余った復活剤をエアで飛ばして完了とする。そして、再び基盤にハンダ付けし、組み立てる。
さて、いよいよ試聴である。レコードはリンダ・ロンシュタットのスタンダード曲のアルバム。針を落としてボリュームを上げていく。ボリュームのガリ音は全くしない。突然、奥行きのあるリンダの声が立ち上がってくる!滑らかに盛り上がる歌声も割れることなく再生されていく。左右のバランスもきちんと出ている。バンドを従えたリンダが真ん中に立っている!このアルバムについては、いずれ書くつもりではいるが、スタンダードナンバーを歌うリンダの声はまさに神が与えたもうた「ギフト」である。すばらしい… ボリュームを外して掃除して付けただけではあるが、久しぶりにいい仕事をした気がする。
キカイとごはんと猫が好き。
この年代のメンテはヴォリューム周りを
メンテすると驚くほど安定しますね!
最近思うのは、古い年代のアンプほど
厚みと深みのある音が出ると確信しています。
意外にもパソコンと繋げるとかなり良い
音が出てきます。