2月いっぱいで閉店した、近所のハドフ。その店はちょいちょいジャンクオーディオの仕入れに使ってたので、とても残念だ。その閉店セールで買ったソニーのアンプ、TA-FB720R。ジャンクではなく、リユース品といわれる動作保証済みの品だ。
1998年発売当時38,000円という、とってもお安いアンプだったらしい。そのあたりの年代は、私のオーディオ趣味は休眠期なので、正直知らないアンプなのだ。そんな私からすれば新しいアンプなのだが、今年は2023年。すでに25年が経過した古いアンプということになる。1998年というと、バブルの収束期ではあるが、オーディオメーカーにもまだ元気があり、値段の割にかなりの物量が投入された製品が多かった。
買ってきたアンプをセロファンの保護シートから解放すると、なかなかきれいな筐体だ。というのも、ハドフのリユース品は、セロファンを破るとがっかりするものも多いからだ。基本動作さえすれば、リユース品としてセロファンでくるまれ、恭しくそこそこのお値段で展示されるのだ。ちなみに、今まで買ったリユース品のコンポで、まともに動作したものはない。それはさておき、ボンネットから内部を覗くと、なかなか良さげな作りではある。しかし、かなり埃っぽい。ボンネットを外して、エアブローついでに見物してみよう。
まず目に飛び込んでくるのは、巨大なトロイダルトランス。しかも、巻き線むき出し仕様。こんなのは初めて見た。その奥には、巨大なコンデンサと、MOSFETが見える。筐体内は3分割されており、一番左が電源ということになる。
その右側には、左右対称に放熱フィンが配置され、パワーアンプ基盤が中心に置かれている。細かいコンデンサ類も、オーディオグレードの物が奢られている。右側にはその他ファンクションの基盤、右側板に沿ってフォノイコライザーが垂直に配置されている。筐体の中は全体的に空間が多く、とてもシンプルな基盤構成ではあるが、シンメトリカルな配置は美しくもある。
さて、音はどうだろうか。メインのアンプをメンテナンスしたかったので、入れ替えてみる。ACアウトレットが2口しかなかったり、フォノイコライザーがMMのみの対応だったりと簡略化されてはいるが、音の方は本格派である。CD、レコード、ラジオと鳴らしてみるが、どのソースも及第点以上の音を出してくる。特に良いのがレコード再生、MMのみに絞ったイコライザーだが、とてもよくできている。特にクラシックを繊細に鳴らしてくれるのが好印象だ。ラウドネスのバランスがいいのも良い。ラウドネスのイコライジングはメーカーによってかなり異なるが、基本私は通常使わない。わざとらしいドンシャリになるものがほとんどだからだ。しかし、この720Rのラウドネスは、とても自然でよい。
リモコンは付属していなかったのだが、試しにSONYのミニコンポ用のリモコンで操作してみると、ボリュームだけは動かすことができた。純正リモコンでファンクションが切り換えられたとしても、その先の機器にリモコンがなければ意味がないので、アンプに関してはボリュームが動けば十分だ。
外観はシャンパンゴールドで、高級感もある。安く買えるのであれば、買って損はないアンプであると言えよう。とても38,000円には見えないはずだ。
キカイとごはんと猫が好き。