ようやく運用を開始したメインスピーカーのFB-5だが、どうも今一つ腑に落ちない。今まで使っていたパイオニアのS-77Twinに比べて、中高音が今一つなのだ。稼動当初はウーハーの動きが悪く、高音ばかりが際立っているように感じたのだが、時間がたつにつれてウーハーが元気を取り戻すと、逆に高音が物足りなく感じるようになってしまった。
FB-5のツウィーターは20kHzまでは再生できる。もちろん、私の耳は15k㎐ですら聞こえるかどうか、怪しいものだ。しかし、オーディオの世界では、その可聴帯域以上の周波数を再生できるかどうかは、スピーカーの再生能力を大きく左右してしまうことが知られている。理屈はわからないが、長年体感してきたことなので間違いはないのだろう。
他に高音が今一つな原因としては、このスピーカーのユニット配置が横向きというのもあると思う。ウーハーとトゥイーターが水平にマウントされているスピーカーは市販品ではかなり希である。加えて、このスピーカーの推奨配置はトゥイーターが外側なので、リスニングポジションから遠くなる。高音は直進性が高いので、内側に寄せたいところなのだが、そうするとウーハーが外側に向いてしまうので定位感がさらに希薄になるだろう。
そこで考えたのがトゥイーターの追加である。小さなボックスを作って、ウーハーより少し内側になるように上にのせてしまおうという考えだ。しかし問題点がいくつかある。まずは能率(出力音圧レベル)である。FB-5のようなバックロードホーンのスピーカーは能率が極端に高い。FB-5は95dbもある。単品のトゥイーターの能率は高いと言われているが、果たしてバランスが取れるのだろうか?そして、もう一つ、最大の問題点はお値段だ。数万円もする単品のトゥイーターを買って失敗したらどうしよう…といったところだ。
そこで考えたのが、これ。どこでも捨て値で売ってるミニコンポ用のスピーカーをバラシて使おうという作戦。たまたま立ち寄ったハドフで、2個で220円のソニーのミニコンポ用スピーカーを購入。選択理由は両ユニットに痛みがなく、トゥイーターが軽量そうな樹脂ダイアフラムなので、より高い音まで出そうだからだ。決して、価格優先で選んだのではない(笑)。
まずはウーハーを抜いて、中身を確認。ウーハーはスルー接続なのでフルレンジ設定のユニットと思われる。トゥイーターはコンデンサ1個を介したローカットのみの接続だ。コンデンサは1.8μFなので、14kHz以下のカットだろうか?そんなに高いかな?、ユニットに関するデータは何もないので、想像でしかない。まあとりあえず、音を出してみよう。ちなみにFB-5が8Ω、買ってきたスピーカーは6Ωだ。そのまま並列でつないで写真の状態で音を出してみる。
あれ?何の問題もなく音が出る。ちょっと高音が出すぎてるような気もするが、嫌な音ではなく、定位感も好ましい。正直ばっちりだと言える!何てことだ、奇跡が起きた!まさか220円で買ってきたスピーカーのトゥイーターだけでここまで改善するとは驚きである。
さてそれでは、エンクロージャーを作るとしよう。ユニットのデータは全くないので、箱(エンクロージャー)は適当に作る。まあ、トゥイーターのエンクロージャーなど、どのように作ってもたいして問題はないものだ。トゥイーターの箱だけだと座りが悪いので、門型で作ることにした。ローカットのコンデンサも、とりあえずそのまま使うことにする。しかし、箱の色は失敗した。適当にグレー系のスプレーをホムセンで選んだのだが、明るすぎた。海辺のサーファーの家みたいな色だ。まあ、しょうがない。
この位置にトゥイーターを配置すると、ともかく定位が決まる。FB-5のぼんやりとした定位が、劇的に改善するのはありがたい。隙間には、ミニコンポサイズのCDプレーヤーくらいは設置できる。今後は、追加トゥイーターのローカット周波数や本体のトゥイーターのローカット周波数を変えて詰めていこうと思う。
キカイとごはんと猫が好き。