ネットワークは、2ウェイなので割とシンプルな構成。1.2mhのコイルと、3.3μFのコンデンサーが2個づつ片チャンネルに使われている。今回は、それぞれオーディオグレードで割とお高いパーツを使用した。配線も貧弱なプリント基板は使わずに、OFC線を使った直配線で組んでみた。ターミナルも、バナナプラグ対応品に交換。入手した取説によると、アッテネーターは最大でフラット特性とのことなので、スルーで配線した。もちろん、内部配線もOFCに交換。見た目は悪いが、ひとまず完成。ネットワークはスピーカー内に収納されてしまうので、トラブルがない限りは再度お目にかかることはないので良しとする。それぞれ仮組みして出音を確認。この段階で、初期にテスト再生した時よりも格段に音がいい。一皮むけた感じでとでも言おうか、左右バランスも良さそうだ。
さて、設置である。今まで使用していたスピーカーはパイオニアのS77Twinというスリムなトールボーイフロアタイプ。デジタル時代に入ってからのモデルで、元気の良い音が気に入っている。今回のFB-5導入に伴い、ちょっとお休みいただくことにした。このスピーカーの幅は約270mm、FB-5は450mmなので、そのままでは設置できない。館内の諸々の邪魔物を整理し、スペースを開ける。館の床面はコンクリートで、直置きはしたくないので、木製キューブを下に敷いてみた。
さて、ケーブルも新しいものに交換し音を出してみよう。レコード、ラジオ、カセットとアナログソースを次々再生してみる。「まあ、それなりの音では鳴るな」というのが第一印象。全体的には、かなりハイ上がりな印象を受ける。ユニットが両方ともパルプなので、音に紙っぽさが乗っている。しかし、時間を追うごとに音がまとまってくる。このスピーカー、相当長い間ボイスコイルへの通電がされてなかった個体のようだ。今使っているアンプはALPINE/LUXMANのL105という真空管とトランジスタのハイブリットアンプ。こいつも相当暖気に時間がかかり、本領発揮には1時間ほどを要する。それも相まって、時間を追うごとに音が変わっていくのだと思う。
3日ほど数時間ずつ鳴らしてみた結果、ずいぶん音が好ましく変わってきた。ハイ上がりに感じたのは、ウーハーが良く動いてなかったのが原因のようだ。今は音のバランスが良く、低音もバックロードらしいゆったりとした鳴り方をする。不思議と紙っぽさも消えた。ユニットが横配置のせいか、臨場感はあるが低位感は薄い。ツイーターが内側になるように設置すると変わるかもしれない。FB-5は出力音圧レベル(能率)が異常に高く、95dbもあるため、アンプのボリュームを絞っていてもかなりの音量で鳴ってくれる。惜しむらくはサブスピーカーのS33Twinとの音量差が開いてしまい、A+Bで鳴らすと、FB-5の音しか聞こえないことだ。
細かいセットアップを繰り返せば、もう少しよく鳴りそうな感じはする。長期的な調整が必要だろう。まあ、ひとまず好きな音楽を楽しめるようにはなった。長らくこのスピーカーの修理をしていたので、手狭な館内のスペースをかなり占有してしまい、ほかの作業が滞ってしまった。このサイズのものを買うことはそうそうないとは思うのだが、しばらくは容積のでかい買い物は控えようと思う。
キカイとごはんと猫が好き。