車やバイクの部品を作るのに用いられる砂型鋳造。先日、初めてその体験をしてきた。今回は大量生産ではないので、発泡スチロールで作った物を直接砂に埋めて鋳造する。流し込む金属の熱で、発泡スチロールは簡単に蒸発してガスになってしまい、金属に置き換わるというわけだ。
さて、ここで問題が一つ。今回の体験では、最初に作りたいものを絵に描き、それを3次元に起して立体を切り出すというものである。実は私には芸術的才能が皆無である。だから、絵に描いたものを3次元に起すなど、まるで不可能だ。
そこで、絵に描かなくてもいいように、あらかじめ立体の見本を持参した。私は言わば、芸術的不具者であるので、これくらいのハンデは必要だ。見本となるのは、吉野ヶ里遺跡で買った「馬の土偶」のマスコットである。はに丸君の友達の「ひんべえ」ではない。
まあ、それはさておき、四角い発泡スチロールからじわじわと、馬を切り出していく。埋没できるサイズは決まっているので、若干マイナスにリサイズして切り出していく。途中、顔の長さが足りないことに気付き、あわてて、余ったピースを接着して、顔を伸ばした。同じ方法で、鬣と尻尾も付け足している。頭の先端にはキーホルダーにでもできるように環を付けた。
さて、ここまできたらあとは埋めるだけ。目玉の部分に砂を押し込み、さかさまにして少しづつ砂を入れて圧縮していく。金属を流し込む湯口と押し湯(湯の出口)は2本の前足にした。
冷ましてから砂を割ると、こんな感じの物ができた。
ちょっと寸詰まりではあるが、それっぽい形にできて、私にしては上出来である。鞍や目の部分などの凹凸は少し強めに切り出しておいたので、鋳造後もわかるようにできた。
いやはや、こんな方法を考えた人は本当にすごい。これを量産できるようにするには相当な技術と工夫が必要だろう。とても良い体験でした。